きちんと保湿しているつもりなのに乾きが戻ってくる方へ。ここではケアを足す提案をしません。「保湿」という一語が、足す側の話と逃がさない側の話を同時に呼んでいる。その二つを分けて、今夜どちらを試すかまでを決めます。

「保湿が足りない」と感じている時点で、何が足りないかはまだ決まっていません

化粧水を足した。クリームも重ねた。それでも夕方になると同じところが気になってくる。棚の上のボトルは増えているのに、手応えだけが増えていない。そういう方に向けて書いています。

この記事では原因を当てにいきません。文章を読んで何かを言い当てられるとは、私は思っていないからです。かわりにやるのは、もっと手前の作業です。

「保湿が足りない」と口に出すとき、私たちはたいてい二つの別の話をまとめて呼んでいます。水を置く話をしているのか、置いた水が居てくれる話をしているのか。 これが本人の中でも分かれていないまま、「足りない」だけが先に出てくる。

だから足す方向にしか手が伸びません。増やすか、値段を上げるか、回数を足すか。選択肢がそこしかないように見えるのは、語がまだ一つだからです。

先に断っておきます。この先で扱うのは言葉の範囲だけです。成分の話も、肌のつくりの話もしません。一語を二つに割って、自分がどちらを言っていたのかが分かるところまで。それが今日のぜんぶです。

足す側の話と、逃がさない側の話は、同じ言葉で呼ばれています

まず足す側。化粧水などで水をそこに置くこと。これが「保湿した」と言うときに、いちばん多く指されているほうだと思います。手を動かした実感が残るのも、時間を使った感覚が残るのもこちらです。だから「やった/やっていない」を数えやすい。

次に逃がさない側。置いた水が、そのあとどれだけそこに居てくれるか。ここが厄介なのは、これが量の話ではなく時間の話だという点です。朝つけたものが昼まで持つのか、二時間で手応えがなくなるのか。同じ一本を使っていても、この長さは一人ひとりで別物です。

そして「やった/やっていない」では数えられません。置いた瞬間の記憶しか残らないので、自分が長さの話をしていることに気づかないまま、量の話として足してしまう。 私の実感では、ここのすれ違いがいちばん多いです。

もう一つ、そもそも減りにくい状態という言い方もあります。ただこれは、足す側と逃がさない側のどちらかに寄せて考えて構いません。三つ抱えると使えなくなるので、今日は二つで足ります。

例えをひとつだけ。からからに乾ききったスポンジは、上から水を注いでも最初はほとんど表面を滑って落ちていきます。注いだ量は多いのに、中には残らない。足す側が成立していないのはこの状態です。ここで足りていないのは量のほうではなく、逃がさない側の話になっています。

逆もあります。ちゃんと含んだのに、置いておくうちに軽くなっていく。これは足す側は済んでいて、逃がさない側の話をしている。同じ「足りない」の一言が、正反対の二つから出てくるわけです。

重ねる回数そのものは、私の側では決めていません。理由は別の記事に書きました。

▶ 化粧水を何回重ねるかを、私が決めていない理由

同じ「保湿が足りない」でも、指しているものが人によって違います

うるおいの量を数値にして見るところから、S:RAの施術は始まります。数字にしてみると分かることがあって、「保湿が足りない」とおっしゃって来られた方の中に、数値の上では足りている側の方が混ざります。

つまり同じ一語が、足していない方からも、足したものが留まっていない方からも、同じ言い方で出てくる。どちらが多いとか少ないとかではなく、どちらもいます。

ここで私が言えるのはここまでです。数値を見て「あなたは◯◯です」と型に入れる話ではありません。分かるのは、その人が言っている「足りない」がどちら寄りかという見当だけで、それも会って測って初めて見えてきます。

だから語を分けないまま対策を選ぶと、両方の方が同じ棚の前に立つことになります。足す側の人はもっと濃いものを探し、留まっていない人もまた濃いものを探す。選び方が同じなら、片方には合いません。

自分の「足りない」がどちら寄りなのか。それは他人の言葉を借りずに、見当だけならつけられます。もう少し踏み込んだ話は、こちらに書きました。

▶ 油っぽさと乾きが同じ顔に出ているときの見分け方

今夜、どちらの話をしていたのかを自分で確かめる

やり方は変えなくていいです。手順を一つだけ足します。

  • ① いつも通りに化粧水をつけたあと、つけた直後ではなく、少し時間を置いてから同じ場所に手のひらを当てる。 直後に返ってきた感じと、置いたあとに返ってくる感じが変わるかどうか。見るのはそれだけです。
  • ② 当てる場所は顔の中の一か所だけに決める。 頬でも、額でも、どこでもいいので固定します。日によって場所を変えると、前の日と比べられなくなります。
  • ③ 良し悪しで採点しない。 「今日は足す側の話をしていた」か「逃がさない側の話をしていた」か、そのどちらだったかだけをメモします。

秒数や分数は書きません。数字を決めると、その数字を守れたかどうかの話になってしまって、肝心の「どちらの話だったか」が見えなくなります。自分の感覚で少し置く、で足ります。

そして、今夜の結果で明日を変えなくて大丈夫です。同じ人でも日によって揺れます。何日か分のメモが並んだときに、ようやく自分がどちら寄りの言葉を使っていたかが見えてくる。一日目は、ただの一日目です。

分けたところで、量そのものは言葉では出てきません

この記事でできるのは、自分がどちらの話をしていたのかを分けるところまでです。それ以上ではありません。

どれくらい置けているのか、どれくらい居てくれているのか。その「どれくらい」は、手のひらの感じからは数字になりません。当てて分かるのは変わったか変わらないかで、その幅がいくつなのかは出てこないからです。

S:RAという名前は、ファンデを手放した状態ではなく、朝に塗る量を自分の側で決めている状態のほうを指しています。自分の側で決めるには、自分が何の話をしているかを先に知っている必要がある。だから私は、量より先に語を分けます。

今日やったのは、「保湿が足りない」を足す側と逃がさない側に割ることと、今夜どちらを見るかを一つ決めることでした。語が二つに分かれたなら、今夜どちらを見るかはもう決まっています。


語を分けるところまでは、今夜ご自宅でできます。ただ、置いたものがどれくらいの量で、どれくらいそこに居てくれているのか。その幅だけは、当てた手の感じからは目盛りになりません。そこから先は、数字にして見るところからになります。

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※本診断はカウンセリングを目的としたものであり、医学的な診断ではありません。
※当サロンの施術はエステティックの範囲で行うものであり、医療行為ではありません。
※効果・実感には個人差があります。

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